昭和28年(1953)の歌謡曲・流行歌・愛唱歌

毒消しゃいらんかね(5月発売)
 歌:宮城まり子/作詞・作曲:三木鶏郎
 ♪わたしゃ雪国 薬売り あの山越えて 村こえて〜。三木ワールド炸裂!コミカルで親しみやすいメロディーは一度聞いたら忘れられない。歌詞にもあるように、有名な越中富山の薬売りを始めとして、昔は民間薬(庭用常備薬)をよく売りにきていた。病院に行くのはよほどの非常事態の場合で、ほとんどはこの民間薬と、伝統的な庶民の知恵を駆使して病気やけがを治していたのである。  「毒けし」は主に腹痛など、内臓用の薬の事。いまでも富山・新潟方面の観光バスではこの曲が流れる。

雪の降るまちを(6月発売)
 歌:高英男/作詞:内村直也/作曲:中田喜直/編曲:松山祐士
 もともとは昭和24年にNHKラジオで放送された連続放送劇「えり子と共に」(原作:内村直也)の劇中歌としてつくられた曲だったが、放送後に大反響となり2番と3番を追加、昭和28年にフランス・ソルボンヌ大学でシャンソンを勉強し、帰国したばかりの高英男によってレコード化。2月2日より「NHKラジオ歌謡」で放送されヒット曲となった。

街のサンドイッチマン(7月発売)
 歌:鶴田浩二/作詞:宮川哲夫/作曲:吉田正
 「サンドイッチマン」というのは「歩く広告塔」とも言われ、前後に店の看板をぶら下げて(はさまれて)いることからこの名がついた。歌詞に出てくる「ロイド眼鏡」はアメリカの喜劇俳優、ハロルド・ロイドのトレードマークだった黒縁の眼鏡のことで、コミカルな仕草が要求される職業なので使用したのだと思われる。他にピエロの扮装とかもよく利用された。だが、人々に明るさをふりまきながら街頭を練り歩くそのメーキャップの下には、生活に困窮していたサンドイッチマンの悲哀が隠されていたのだ。ジャズをベースにしたリズミカルな曲だが、その哀調を帯びた吉田正のメロディーラインがその心情をよく表している。

君の名は(9月発売)
 歌:織井茂子/作詞:菊田一夫/作曲:古関裕而
黒百合の歌(11月発売)
 歌:織井茂子/作詞:菊田一夫/作曲:古関裕而
 前年の昭和27年に社会現象にまでなった超人気連続ラジオドラマ、「君の名は」の映画化の同名主題歌。ラジオも映画もサウンドトラックでは高柳二葉が歌っていたが、レコード発売の際には童謡出身の織井茂子による吹き込みであった。ヒットしたのは第二部の「黒百合の歌」のほうで、この曲はアイヌ伝説の「黒百合を手にすると恋が成就する」に基づいている。また、このドラマからは他にも「君いとしき人よ」(伊藤久男)「花のいのちは」「忘れ得ぬ人」などのヒット曲が生まれている。


[昭和28年/芸能ニュース]

ジャズブーム
5月1日、ジャズカルテット「ビッグ・フォー」が日劇で旗揚げ公演。同じく日劇で開催された「ティーンエイジャー・ジャズ大会」では6日間で7万人を動員。一方、浅草国際劇場では「ジャズ・ショー」開催。13日間で10万人を集めるなど、ジャズでなければ夜も日も明けないほどの大ブーム。こんな日本のマーケットを本場がほっておくはずがない。ザビア・クガート楽団、ノーマン・グランツやオスカー・ピーターソンの「JATP」、ルイ・アームストロング・オールスターなどなど、大物外国人プレーヤーが続々来日。全国の大学ではアマチュア・ジャズバンドが次々と誕生。そして都内を中心にジャズ喫茶も次々とオープンした。

うたごえ運動
ソプラノ歌手、
関鑑子によって設立された「中央合唱団」を中心とする「うたごえ」サークルの活動が労働組合や学生のあいだで普及。11月29日には東京・日比谷公会堂と共立講堂で「第一回日本のうたごえ祭典」を開催。第1回中央大会開催。「うたごえは平和の力」をスローガンにその運動は全国にが広がりをみせた。

司会のトニー谷が「レディース・アンド・ゼントル・マン、アンド、オトッツアン、オッカサン」で人気者になる。

| 歌謡曲・ポピュラー| 映画 | ラジオ・TV | 流行

Copyright (c) 1999-2003 A Ringo House. All Rights Reserved.
掲載の記事・写真・イラスト等の無断転載を禁じます。記事の著作権はRingo Housoに帰属します。