[日本映画]
■ 昭和28年度(1953)キネマ旬報ベストテン
●PHOTO:「にごりえ」松竹
●にごりえ(制作:新世紀プロ・文学座/配給:松竹)11月23日、モノクロ
監督:今井正/原作:樋口一葉/音楽:団伊玖磨
出演:三津田健/田村秋子/久門祐夫/丹阿弥谷津子/芥川比呂志
樋口一葉原作小説、全三話からなるオムニバス。
「第一話/十三夜」「第二話/大つごもり」「第三話/にごりえ」
●東京物語(製作:松竹大船)11月3日/モノクロ
監督:小津安二郎/脚本:野田高梧・小津安二郎
出演:笠智衆/東山千栄子/原節子/杉村春子/山村聡/三宅邦子/香川京子
小津安二郎の「お茶漬の味」以来一年ぶりの監督作品。
住みなれた尾道から20年ぶりに東京へ行く老夫婦。途中で大阪の三男の家に寄り、東京では長男の家で表面上は歓迎されたが、それぞれ生活に追われており、どこかよそよそしさを感じる。そんな中、戦死した次男の未亡人紀子だけは昔と変らない暖かさで迎えてくれた。
●雨月物語(製作:大映京都)3月26日/モノクロ
監督:溝口健二/脚本:川口松太郎・依田義賢/原作:上田秋成
出演:京マチ子/水戸光子/田中絹代/森雅之/小沢栄
戦乱のさなか、陶工源十郎は陶器を売るために家族を連れて旅に出た。途中で家族はばらばらになり、たどりついた大溝城下で源十郎は美女から陶器の注文を受ける・・
●煙突の見える場所(製作:エイトプロ/配給:新東宝)3月5日/モノクロ
監督:五所平之助/原作:椎名麟三「無邪気な人々」/音楽:芥川也寸志
出演:上原謙/田中絹代/芥川比呂志/高峰秀子/関千恵子/田中春男
通称「おばけ煙突」。それは見る場所によって1本にも2本にも、時に4本にも見える。東京は北千住にあったその煙突の周辺に暮らす屈託のない人々のお話。
●あにいもうと(製作:大映東京)8月19日/モノクロ
監督:成瀬巳喜男/脚本:水木洋子/原作:室生犀星
出演:京マチ子/森雅之/久我美子/堀雄二/船越英二/浦辺粂子
可愛がっていた妹が奉公先で妊娠し家に戻ってきた。兄の伊之吉はいたたまれない気持ちで身重の妹、もんにつらくあたるようになる。
昭和51年(1976)に秋吉久美子、草刈正雄のコンビでリメイクされた名作。
●日本の悲劇(製作:松竹大船)6月17日/モノクロ
監督:木下恵介/脚本:木下恵介/音楽:木下忠司
出演:望月優子/桂木洋子/田浦正巳/上原謙/高杉早苗/高橋貞二/佐田啓二
子供二人を抱えての戦争未亡人の生活はつらい。子供のために旅館の仲居として懸命に働く母親、だが、そんな心を知ってか知らずか、子供は成長するにつれて気持ちが離れていく・・。タイトル通りつらい映画ではある。
●ひめゆりの塔(製作:東映東京)1月9日/モノクロ
監督:今井正/脚本:水木洋子/音楽:古関裕而
出演:/津島恵子/岡田英次/信欣三/石島房太郎/殿山泰司/河野秋武
太平洋戦争も末期、せまりくるアメリカ軍に最後の抵抗を試みる日本軍の最前線となった沖縄。そこで「ひめゆり部隊」と呼ばれた若い女学生達は、味方であるはずの日本軍にさえも銃を向けられ・・・。戦争とはいつも、こうした名も無き人々の上に成り立っていることを為政者は肝に銘ずべきなのだが・・。
●雁(製作:大映)9月15日/モノクロ
監督:豊田四郎/脚本:成沢昌茂/原作:森鴎外/音楽:團伊玖磨
出演:高峰秀子/芥川比呂志/宇野重吉/東野英治郎/浦辺粂子/飯田蝶子
雑誌「スバル」に連載された森鴎外原作の映画化。
高利貸しの情婦でありながら、医科大学生に恋をしてしまったお玉。かなうはずもなく、ドイツへ留学が決まった学生を遠くで見つめるその先に雁が飛んでいく。昭和41年(1966)に若尾文子でリメイク。
●祇園囃子(製作:大映京都)8月12日/モノクロ
監督/溝口健二/脚本:依田義賢/原作:川口松太郎
出演:木暮実千代/若尾文子/河津清三郎/進藤英太郎/菅井一郎/田中春男
「オール読物」に掲載された川口松太郎の原作を「雨月物語」のスタッフで映画化。
貧しい少女栄子は売れっ子芸者美代春の肝いりで一人前の舞妓を目指すが・・・。
若尾文子の退廃的な美しさは、こういう役をやるとぴたりとはまる。
●縮図(製作:近代映画協会/配給:新東宝)4月8日/モノクロ
監督:新藤兼人/脚本:新藤兼人/原作:徳田秋声
出演:乙羽信子/日高澄子/山村聡/宇野重吉/山内明
この時代は世相からいって金と男で苦労する女性を描いた作品が多いが、これもそのひとつ。貧乏であるがゆえに芸者に身売りされ、恋しい人とも結ばれず、心ならずも金持ちの旦那の世話にならざるを得ない銀子の人生とは・・・。
■その他の話題の映画
●ハワイの夜(製作:新東宝・新生プロ/配給:新東宝)1月9日/モノクロ
監督:松林宗恵・マキノ雅弘/脚本:松浦健郎/原作:今日出海
出演:鶴田浩二/岸恵子/水の江滝子/水島道太郎/三橋達也
●十代の性典(製作:大映東京)2月5日/モノクロ
監督:島耕二/脚本:須崎勝弥・赤坂長義
出演:若尾文子/南田洋子/小田切みき/沢村晶子/千田是也/東野英治郎
●雲ながるる果てに(製作:重宗プロ・新世紀映画/配給:松竹)6月9日/モノクロ
監督:家城巳代治/脚本:家城巳代治/八木保太郎/直居欽哉
出演:鶴田浩二/木村功/高原駿雄/沼田曜一/金子信雄/岡田英次/山田五十鈴
●君の名は(製作:松竹大船)9月15日/モノクロ
監督:大庭秀雄/脚本:柳井隆雄/原作:菊田一夫
出演:佐田啓二/岸恵子/淡島千景/月丘夢路/川喜多雄二/小林トシ子
●太平洋の鷲(製作:東宝)10月21日/モノクロ
監督:本多猪四郎/脚本:橋本忍/音楽:古関裕而/特殊技術:円谷英二
出演:大河内伝次郎/二本柳寛/柳永二郎/志村喬/山形勲/三国連太郎
●青春ジャズ娘(製作:新東宝)9月22日/モノクロ
監督:松林宗恵/脚本:北田一郎 蓮池義雄
出演:江利チエミ/ナンシー梅木/新倉美子/水島道太郎/フランキー堺
■ 映画界ニュース
●1月、入場税が100 %から50%に引き下げられる。
●4月8日、東京ピカデリー劇場で立体映画「メトロスコピックス」が公開。立体映像は斬新だったが、偏光メガネが耳にかけるタイプではなく、手に持たなければならなかったので「煩わしい」「疲れる」など不評だった。
●7月7日、板東妻三郎死去。
●9月10日、松竹、東宝、大映、東映、新東宝は、互いの所属俳優引き抜き防止を決めた「五社協定」に調印。
●9月、「雨月物語」がベニス映画祭で銀獅子賞受賞。
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