[外国映画]

昭和27年度(1952)キネマ旬報ベストテン

PHOTO:キネマ旬報「チャップリンの殺人狂時代」

チャップリンの殺人狂時代 (Monsieur Verdoux)1947/アメリカ
 監督・制作・原作・音楽: チャールズ・チャップリン(Charles Chaplin)
 出演:チャールズ・チャップリン/マディー・コレル/アリソン・ロダン
 チャップリンがその多才ぶりをおおいに発揮した作品で自身7年ぶりの製作となる。
 30年間まじめに勤めた銀行を失職した主人公が次に選んだビジネスとは・・・「百万人を殺す人は英雄と讃えられ、一人殺す者は死刑になる」強烈な反戦メッセージが心に残る。

第三の男(The Third Man)1949/イギリス
 製作・監督:キャロル・リード/音楽:アントン・カラス
 出演:オーソン・ウェルズ/ジョゼフ・コットン/アリダ・ヴァリ
 アントン・カラスのチターで始まる最初のシーンとラスト・シーンの対比が見事。
 第二次大戦で廃墟と化したウィーンを舞台にサスペンスあふれる古典的名作。
 アカデミー撮影賞、カンヌ映画祭グランプリ

天井桟敷の人々(Les Enfants du Paradis)1944/フランス
 監督:マルセル・カルネ(Marcel Carne)
 出演:ピエール・ブラッスール/アルレッティ/マルセル・エラン
 三年三ケ月の歳月を要して完成した前後篇合わせて三時間半に及ぶ長大作。
 中心人物のバチスト・ドビュロオとフレデリック・ルメートルは実在の人物で、特にバチスト・ドビュロオは本名シャルルといい、パントマイムのピエロの創造者としてつとに有名。

(The River)1951年/アメリカ
 監督:ジャン・ルノワール(Jean Renoir)
 出演:ノラ・スウィンバーン/エズモンド・ナイト/アーサー・シールズ
「黒水仙」の原作者ルーマー・ゴッデンの半自叙伝的な同名小説からの脚色。
 インドガンジス河の流域で平和に暮す家族の前に現れた片足のアメリカ軍将校ジョン。3人の娘達は初めて見る白人青年に心を奪われるが・・・

ミラノの奇蹟(Miracolo a Milano)1951年/イタリア
 監督:ヴィットリオ・デ・シーカ(Vittorio De Sica)
 出演:フランチェスコ・ゴリザーノ/パオロ・ストッパ/エンマ・グラマティカ
 1951年度カンヌ国際映画祭グランプリ作品。
 ロロッタ婆さんは裏のキャベツ畑で男の赤ちゃんを見つけ、トトと名づけて育てる。トトが六歳になった時婆さんは死に、彼は十八歳になるまで孤児院に入れられた。青年になったトトはミラノの街で乞食の爺さんと知り合う・・・

令嬢ジュリー(Froken Julie)1951年/スェーデン
 監督:アルフ・シェーベルイ(Alf Sjoberg)
 出演:アニタ・ビョルク/ウルフ・パルメ/インゲル・ノウルベルイ
 アウグスト・ストリンドベルイの同名戯曲より、スウェーデン王室演劇場出身のアルフ・シェーベルイが脚色・監督した。
 貧しい農夫にすぎなかったジャンは少年の頃からどんなにジェリーを想いつづけて来たことか、ジャンの口説きについにジュリーはその夜彼に身を任せることに・・。

セールスマンの死(Death of a Salesman)1951年/アメリカ
 監督:ラズロ・ベネデク(Laslo Benedek)
 出演:フレドリック・マーチ/ミルドレッド・ダンノック/ケヴィン・マッカーシー
 原作はアーサー・ミラー。
 生活に疲れ果て、この世を儚んだ63歳のセールスマンが選んだのは死。彼の残したものは2万ドルの生命保険だけなのか・・彼の墓に集まったのは、妻と2人の息子と、隣人のチャーリーだけであった。

肉体の悪魔(Le Diable au Corps)1947年/フランス
 監督:クロード・オータン・ララ(Claude Autant Lara)
 出演:ミシュリーヌ・プレール/ジェラール・フィリップ/ジャン・ドビュクール
 舞台は第一次大戦も終りに近いパリ。青年ベエルと見習看護婦マルトの恋。だがマルトには婚約者がいた。切ないまでの三角関係の結末は・・・。のちに4回もリメイクされたスタンダード。

巴里の空の下セーヌは流れる(Sous le Ciel de Paris Coule la Seine)
 1951年/フランス
 監督:ジュリアン・デュヴィヴィエ(Julien Duvivier)
 出演:ブリジット・オーベエル/ジャン・ブロシャール/ルネ・ブランカール
 シャンソンのスタンダードとなった主題歌の「巴里の空の下」の美しいメロディーとは対照的なストーリー展開。

陽のあたる場所(A Place in the Sun)1951年/アメリカ
 監督:ジョージ・スティーヴンス(George Stevens)
 出演:モンゴメリー・クリフト/エリザベス・テイラー/シェリー・ウィンタース
 シオドア・ドラーサーの小説「アメリカの悲劇」の映画化。
 貧しいながらも野心に燃える青年ジョージは、同じ職場の身よりのない娘アリスと恋仲になる。だが、あるパーティで社交界の花アンジェラと出逢い・・
アカデミー監督賞、脚色賞、撮影賞、衣裳デザイン賞、編集賞、劇音楽賞


その他の話題作

風と共に去りぬ(Gone With The Wind)1939/アメリカ
監督:ヴィクター・フレミング/音楽:マックス・スタイナー
出演:ヴィヴィアン・リー/クラーク・ゲーブル/レスリー・ハワード/ハティ・マクダニエル/オリヴィア・デ・ハヴィランド
 1939年に600万ドルという莫大な制作費をかけて完成した4時間近い超大作。アカデミー賞8部門を独占したが、戦時下の日本では検閲が通らず公開されなかった。ようやく、この年9月4日に東京・有楽座で公開された。この当時の映画館の入場料は、通常、邦画130円、洋画170円なのだが、この作品に限っては300円、500円、特別席600円に設定された。にもかかわらず、この有楽座1館だけで3ヶ月間に28万5千人の観客動員数を記録するほどの大ヒットとなった。
 クラーク・ゲーブルの渋さと、炎のようなヴィヴィアン・リーの対比が印象的。実は主人公のスカーレット役がなかなか決まらず、一説では約1400人の女優をテストしたと言うエピソードあるが、結局、主役不在のまま撮影がスタート。そして、たまたま撮影現場を見学していたヴィヴィアン・リーを見つけた制作者のセルズニックは「イメージ通りだ!」でその場で即決した。

赤い河(Red River)1948/アメリカ
監督:ハワード・ホークス/音楽:ディミトリ・ティオムキン
出演:ジョン・ウェイン/モンゴメリー・クリフト/ウォルター・ブレナン/ジョン・アイアランド/ミッキー・クーン
西部劇の正統派。銃撃戦や先住民の襲撃、牛の暴走、男たちの対立と友情など、見せ場満載の開拓精神あふれる大作。

真昼の決闘(High Noon)1952/アメリカ
監督:フレッド・ジンネマン/音楽:ディミトリ・ティオムキン
出演:ゲーリー・クーパー/グレース・ケリー/トーマス・ミッチェル/リー・ヴァン・クリーフ/ロイド・ブリッジス
印象的な主題曲「ハイヌーン」も有名ですが、保安官対悪党という図式もスタンダードとなった。
アカデミー主演男優賞(G・クーパー)、編集賞、主題歌賞、劇音楽賞

アフリカの女王(The African Queen)1951/アメリカ・イギリス
監督:ジョン・ヒューストン
出演:ハンフリー・ボガード/キャサリン・ヘプバーン/ロバート・モーリー
アカデミー主演男優賞(H・ボガート)

巴里のアメリカ人(AN AMERICAN IN PARIS)1951/アメリカ/MGM
製作:アーサー・フリード/監督:ヴィンセント・ミネリ/作曲:ジョージ・ガーシュウィン
出演:ジーン・ケリー/レスリー・キャロン/オスカー・レヴァント/ニナ・フォック/ジョルジュ・ゲタリ
ジョージ・ガーシュインがヨーロッパ旅行をした時の印象を元に作曲した「巴里のアメリカ人」をモチーフにしたミュージカル。 恋の歓びと悲しみ
アカデミー作品賞、オリジナル脚本賞、衣裳デザイン賞、ミュージカル音楽賞、美術監督賞、撮影賞、セット装飾賞

雨に唄えば(Singin' In The Rain)1952/アメリカMGM
製作:アーサー・フリード/監督:ジーン・ケリー
出演:ジーン・ケリー/デビー・レイノルズ/シド・チャリシー/ドナルド・オコナー
雨の中を主題歌の「雨に唄えば」を唄いながら踊るシーンは、今さら説明もいらないほど。
サイレント時代からトーキーへと移り変ろうとする映画界の舞台に、ケリーとレイノルズのロマンスを描いたミュージカルの傑作。ケリー、オコナー、レイノルズの3人が陽気に歌う「グッドモーニング」など数々のナンバーが楽しめる。
1952年度アカデミー賞ミュージカル映画音楽賞


映画界ニュース

3月10日、米女優、ベティ・ハットンが朝鮮戦争慰問後に来日。

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